最近、海外旅行にも自由に行けるようになってきたということもあって、友人や知人から、中国のトランジットビザ免除制度に関しての問い合わせを受けることが増えてきました。
どうやらネットを調べてもあまり情報が載っていないようで、それもあって「現地に住む人であれば何か知っているのでは?」と問合せしてきているようです。
そこで今回は、
- 中国のトランジットビザ免除制度の概要
- 実際にどういった書類を準備すればいいのか?
- どういった手続きが必要なのか?
について、実際にこの制度を利用して中国に入国した友人知人から聞いた生の情報をもとに、記事に纏めたいと思います。
中国トランジットビザ免除制度
トランジットビザ免除制度とは
トランジットビザ免除制度とは、有効なパスポートを所有し、中国を経由して第三国に向かう旅行客を対象に、入国時に必要なビザを免除する制度となります。
- 対象国:日本を含む、世界53ヵ国のパスポートを所有する国民
- 対象通関:上海、北京、広州、大連、青島など主要な空港・港湾
- ビザ免除滞在期間:72時間から144時間(国や空港によって異なる)
2023年8月現在、日本国籍の保有者が中国国内に入国するには、商用であっても観光であっても、原則ビザが必要になります。過去は15日間以内の滞在であればビザ不要だったのですが、コロナ中の2020年3月からビザ免除は撤廃され、現時点でも再開していません。
しかしながら、このトランジットビザ免除制度を活用することによって、滞在可能期間が短いなどの制限などはあるものの、入国ビザを取得することなく中国国内に入国し、観光や滞在をすることができます。
最近は東京や大阪のみならず、全国各地の空港で中国へのフライトの運行が再開しています。
しかしながらビザの取得は主要都市の領事館やビザセンターに行かねばならず、取得までのハードルが高かったのですが、この制度を使えばビザ取得が不要になりますので、非常に嬉しいですよね。
トランジットビザ免除制度による滞在期間や滞在可能場所
トランジットビザ免除制度では、滞在できる期間やエリアが通関場所(空港)によって異なります。
滞在可能期間については、72時間から144時間までとされています。北京や上海など主要な空港であれば144時間、つまり到着から6日間まで滞在可能となっているようです。
また滞在できるエリアについても制限があります。上海空港での通関であれば、上海市・江蘇省・浙江省内に限られますし、北京空港であれば北京市・天津市・河北省の一部、となっているようです。
この滞在可能期間やエリアは頻繁に変更となり、またタイムリーに更新されていないということも多々ありますので、基本的には短期間かつ空港周辺の都市、という前提で理解しておくのが良いと思います。あくまでも「トランジット」のためのビザ免除ですので。
参考までに中国ビザセンターのWebサイトの関連ページも載せておきます。ただしこのサイト、英語版はかなり詳細な記載があるのですが、同じページの日本語版ではかなり端折られています…
トランジットビザ免除の必要書類
トランジットビザの免除のための必要書類として、北京市の人民政府のWebサイトでは以下が挙げられています。
①パスポート
まずはパスポート。これは言わずもがなですね。
有効期限の残りについては記載がありませんが、一般的に期限切れ直前のパスポートでの入国は認めないという国も多いので、ある程度の期限(1年以上がベター)のが残っているかどうか気をつけましょう。
②中国から第三国に出国する飛行機の航空券
二つ目は、中国から第三国に出国する飛行機の航空券ですが、こちらはeチケットのコピーで大丈夫です。
大事な点は、フライトの予約だけでなく、座席の確定まで必要とのことです。LCCなど、座席指定が有料オプションになっていて、チェックインするまで座席がわからないケースもあると思いますが、念のため中国からの出国便については有償であっても座席指定しておくのが良いでしょう。中国に入国するタイミングで、これを理由に拒否されてしまっては目も当てられません。
なお、ここでいう「第三国」とは、出発地、及び経由地である中国とは異なる国、のことです。
例えば、東京から北京、北京から大阪のフライトを予約している場合、東京も大阪も同じ日本ですので、この場合は第三国とは認められません。
一方で香港や台湾は中国であっても別地域扱いなので、東京から上海を経由して香港に向かう、という場合にはトランジットビザ免除の対象になります。
また、中国に到着する空港と、中国から第三国に出国する空港は、同じエリア内であれば別の空港でも構いません。
東京の成田と羽田のように、上海には浦東国際空港と虹橋国際空港の二つの空港があります。例えば上海を経由する場合、日本から上海には浦東国際空港に到着し、出発は虹橋国際空港から、というケースでもOKです。
逆に、北京国際空港に到着し、上海の空港から出国する、というのはNGです。なぜなら上海と北京は同じエリアにはなっていないからです。
また、航空会社についても、入国と出国で別々の航空会社でも構いません。実際に私の友人は、別の航空会社間のトランジットであっても入国OKでした。
③外国人入出境カード
三つ目は、外国人入出境カードです。
機内で配られる入国カードとは別のものが必要になりますが、現地の空港で入手可能ですので、搭乗時は心配する必要はありません。
④その他の必要書類
北京市人民政府のWebサイトには記載されていませんが、ホテルの予約票の提出を求められたというケースもあります。2日を超える滞在の場合、予約を証明できるものも準備しておいた方が良いでしょう。
またトランジットビザ免除とは直接関係はありませんが、現在中国の入国にはWebによる健康申告が必要です。下にリンクを貼っておきますので、事前に登録を済ませておきましょう。またQRコードはスマートフォンに画面コピーしておくことを推奨します。
トランジットビザ免除の手続きについて
日本からの出国時
さて、ここからは具体的なビザ免除の手続きについて説明します。航空会社や経由する空港によって対応が違ったりするようですので、あくまでも一例ということでご了承下さい。
空港でのチェックインの際に中国ビザの確認を受けると思いますが、“トランジットビザ免除制度を使って入国する”旨を伝えましょう。
その際に必要書類の確認を受けるかもしれませんので、先ほどの必要書類はすぐに出せるように準備しておくのが良いでしょう。
中国入国時の手続き
中国に到着すると、入国審査があります。
トランジットビザ免除制度制度を使う場合は、通常の入国カウンターとは別のカウンターで申請が必要になります。具体的には、“24/144小时过境”や“24/144-Hour Transit Area”と書かれてあるカウンターのことです。このカウンターに、必要書類③の外国人入出境カードも置かれています。
ただしこのカウンター、到着時間帯によっては閉まっているというケースもあるそうです。私の友人の場合ですが、専用カウンターが閉まっていたものの、通常の外国人用の入国カウンターに行って手続きができたということですので、閉まっている場合でも慌てずにいきましょう。
ここで必要書類を提出し、審査を受けます。場合によっては1時間程度待たされるケースもあるということです。多少時間がかかるかもしれませんが、心配不要です。
無事に審査が完了すれば、パスポートに入境許可のシールが貼られて帰ってきます。滞在可能エリアやいつまで滞在可能かが記載されていますので、しっかりと確認しましょう。
また入出境カードの半券も渡されます。これは第三国への出国の際にまた確認されますので、なくさずにしっかりと保管しておきましょう。
以上が手続きになります。あとは第三国への出国の合間に、中国の観光を楽しみましょう!
終わりに
以上が中国のトランジットビザ免除制度の概要や必要書類、手続き方法についてです。
ここにきて中国と日本各地のフライトがどんどん復活しています。お住まいのエリアによっては、海外旅行の際、東京や大阪などの空港を経由するより、中国を経由した方が近いし便利、という方もいるでしょう。
今回の記事がお役に立てば幸いです。お読み頂きありがとうございました。
コメント
【また、中国に到着する空港と、中国から第三国に出国する空港は、同じエリア内であれば別の空港でも構いません。】と記載されてありますが、福岡⇔北京間で大連を経由して、目的地は他国の場合は、ビザ免除を受けられるのでしょうか。
なーさん
コメントありがとうございます。
結論から言うと、できません。
と言うのも、北京空港でトランジットビザ免除制度を受ける場合、滞在可能エリアが「北京市、天津市、および河北省の一部」となっておりますが、大連(遼寧省)このエリアの外になるためです。
もし仮に、北京空港で入国し、天津空港から第三国に出国であれば、空港は違うものの適用可能です。
ご参考になれば幸いです。
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